悪性腫瘍は「がん」なのか?

 「そのがんは良性ですか?」という質問をたまにされる方がおられます.

もちろん「がん」に良性などなく,すべて悪性です.

 まず悪性腫瘍という大きな世界があります.悪性腫瘍は勝手にどんどん増えていき,どこかほかの組織へ飛んで行って転移を起こしたりします.良性腫瘍も大きくなりますが,転移をきたすことはありません.

 悪い腫瘍だから悪性腫瘍なのです.

 「がん」とはどう違うのか?

 最近,アナウンサーの方が「悪性リンパ腫」と公表されましたが,これもいわゆる悪性腫瘍ですが,「がん」とは医師は言いません.

 右に消化管の壁構造を書いていますが,このように消化管は層構造を持っています.このうち一番内側の粘膜の部分が悪性化したものがいわゆる「がん」です.

 それ以外が悪性化したものは一応「がん」とは呼びません.ただ,患者さんへの説明上「がん」のようなものといったりすることはあります.

 「がん」以外の悪性腫瘍はどのようなものがあるか?

 骨や筋肉が悪性化すれば,骨肉腫,平滑筋肉腫といったいわゆる「肉腫」と呼びます.骨や筋肉は先に挙げたように粘膜ではないため「骨がん」・「筋肉がん」とは呼びません.

 ほかにも血液のなかの白血球やリンパ球が悪性化すると白血病や悪性リンパ腫と呼びます.

 このように,悪性腫瘍というカテゴリーの中に「がん」や肉腫,白血病,悪性リンパ腫などがあるのです.しかし,一般の方は悪性腫瘍と「がん」を同じものと思っていたり,「がん」の中に「良性」と「悪性」があると思っていることがあります.ほとんどの悪性腫瘍は「がん」であるため,「がん」でない悪性腫瘍を,「がん」といって説明したり,病名告知をごまかす?ために良性の「がん」といったりしたものが,変に広まっていのではないかと考えています.

コメント

タイトルとURLをコピーしました