たまに「内視鏡は鼻からですか」と聞かれます.
ほとんどが精密検査の内視鏡なので経鼻内視鏡はあるけどやっていませんとお答えしています.どうしてもという方には経鼻で行うことがありますが,準備のシステムが整っていないので鼻からたくさんやっている施設より劣ります.
経鼻内視鏡という用語はやり方の呼称であり,本来は鼻からでも入れられるぐらい細い内視鏡(細径内視鏡)を鼻から入れて検査することを経鼻内視鏡と呼んでいます.別に口から細径内視鏡を挿入しても何ら問題ありません.
きちんと前処置するなら鼻からは楽です
経鼻内視鏡が楽なのは
鼻から内視鏡が入るとのど(咽頭)に沿ってはいるので嘔吐反射が少ない
ことが一番の要因です.
口から内視鏡を入れると食道へ向かうにはのどの奥で一回内視鏡が当たって90度曲がって食道の入口へ向かう必要があります.
経鼻ルートを楽に受ける条件として準備(前処置)をきちんとしていることが挙げられます.鼻に麻酔して,鼻の穴に内視鏡ぐらいのチューブを突っ込んでしばらく置いておきます.そうすると内腔が十分確保され,楽に受けることができます.
弱点は
- 画質が悪い
- 吸引が弱いので残渣が胃内にあると洗浄しにくい
ことが挙げられます.
画質は以前に比べて向上したので,普通に使う分には問題ありませんが,精密検査をする目的では,より画質のいい普通の太さの内視鏡を用います.
吸引が弱いのは吸引する穴が小さいので物理的に改善が困難です.
鼻からの内視鏡ができない場合はどうする?
前処置をうまくできない,きちんとやっていない施設でやるなら
細径内視鏡を口から入れる方法も有用です
鼻からはいる細い内視鏡を通常どおり口から入れると,先ほど述べたような,のどの奥を押す刺激が通常の太さの内視鏡より軽減さるためまだましです
鎮静剤を用いることも検査を楽に受けることに有用です
もちろん効く程度には個人差があるため「全く覚えていない」から「全然効いていない」までさまざまな結果になります.
たまに全身麻酔でといわれる方がいますが,全身麻酔は手術も可能な状態となります.普通は使いません.「全身麻酔でやります」とか「全身麻酔でやった」というのはほとんど鎮静剤を用いた内視鏡検査です.
子供や特殊な例を除いて内視鏡の検査を全身麻酔でやることはありません(治療を全身麻酔で行うことはあります).

検診のようなスクリーニングでは細い内視鏡は患者さんの内視鏡へハードルを下げるという意味で有用だと思います.
コメント